小菱形筋
肩こり・首こりの原因となる筋肉:小菱形筋
小菱形筋は、背中の上部に位置し、主に肩甲骨と背骨(胸椎)とを繋ぐ筋肉です。解剖学的には、小菱形筋は僧帽筋と近接しており、肩甲骨の動きと位置の安定に貢献しています。
小菱形筋の主要な作用は、肩甲骨の内転と下方回旋です。これにより、腕の精密な動きや力の伝達が可能になります。例えば、物を持ち上げる場合、この筋肉が肩甲骨を適切な位置に安定させる役割を果たします。
この筋肉の不調は、肩や背中の痛み、そして運動能力の低下につながる可能性が高いです。特に、長時間のデスクワークや不適切なトレーニングがこの筋肉に過度な負荷を与えることがあります
疲労や過度な負荷、さらには年齢による筋力の低下など、多くの因子が小菱形筋の機能を影響させ得るため、定期的な評価と適切なケアが必要です。特に高齢者や運動選手において、この筋肉の健康状態は極めて重要な意味を持っています。専門的な評価と運動プログラムによって、小菱形筋の機能を最適に保つことが推奨されます。
起始 | 第6・第7頸椎の棘突起 |
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停止 | 肩甲骨内側縁上部 |
支配神経 | 肩甲背神経 |
肩甲骨の内転
肩甲骨を背骨方向に引き寄せる。
肩甲骨の下方回旋
肩甲骨の下部を内側、上部を外側に動かす。
肩甲骨の固定
肩甲骨を安定した位置に保つ。これにより、上肢の動きがスムーズに行われる。
背中を伸ばして立つ
肩甲骨を適切な位置に固定し、背筋をしっかり使って立つ際に活動しますので、姿勢改善にも重要な筋肉となります。
物を掴む、持ち上げる
肩甲骨の安定性を高めることで、手や腕で物を掴む、持ち上げる動作がスムーズに行えます。
服を着る、脱ぐ
肩甲骨の動きをスムーズにし、腕を自由に動かせるよう支援します。
顔を洗う
肩甲骨を安定した位置に保つことで、腕や手の動きが容易になり、顔を洗う作業が楽になります。
運転する
ハンドルをしっかり握る、方向転換の際にも肩甲骨の安定が求められます。
筋肉の過度な使用
スポーツや重い物の持ち運びなどで筋肉に過度な負荷がかかると、痛みが生じやすくなります。
不適切な姿勢
長時間のデスクワークやスマートフォンの使用で姿勢が悪化すると、小菱形筋に負担がかかります。
筋緊張
肩の力が適切に抜けないと、小菱形筋が硬くなり、痛みを感じやすくなります。
肩甲骨周囲の筋肉バランスの悪化
隣接する筋肉(大菱形筋、僧帽筋など)の不調や骨の形状の問題で、肩甲骨の位置がずれると小菱形筋に負担がかかります。
小菱形筋
小菱形筋は、緊張が緩みすぎると肩甲骨が前方へ変位し巻肩の原因になるため、きちんと大菱形筋の状態を評価した上で、筋力トレーニングをするのか、ストレッチ・肩甲骨剥がしをするのかを選択しながら施術を行っていきます。大菱形筋・小菱形筋・大胸筋などは、巻肩の原因となる筋肉の1つです。